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August.2014 vol.86高等研カンファレンス2014“Chromatin Decoding”核回で3回目となる高等研カンファレンス今は、2014年5月12日から15日の4日間にわたって、国際高等研究所で開催されました。高等研カンファレンスは、現在の注目すべき学術分野で最も先端的に展開されている課題を取り上げ、その分野の国際的にも一流の研究者たちを海外、国内から広く招へいして最新の知見を持ち寄り、多彩な観点から密度の高い議論を行うものです。単に研究成果の国内外への発信ということだけでなく、広く研究者、学界等に向かって、新たな学術分野が展開する可能性や、我が国の学術研究の将来のために必要な問題を提示することを目指しています。今回のカンファレンスでは、「クロマチン・デコーディング」をテーマに、クロマチンに関連した生命現象を研究する研究者を招待し、本テーマに関連した超分子複合体の立体構造解析から個体発生や病態など高次生命現象に至るまでの分野をカバーした講演をもとに、クロマチンの動態を背景にした生命現象の理解という生命科学の最先端の課題と今後の研究の方向性について議論されました。その概要は次のとおりです。細胞染色体クロマチン繊維直径約30nmDNA二重らせん構造をもつ直径2nmヌクレオソーム直径10nmDNAは何重にも巻き取られ、極めて圧縮した形で染色体の中に折りたたまれている。ヒストンタンパク質DNAには生命の設計図として、その生物の生物たる所以がすべて書き込まれていますが、それを読み並べるだけでは生物ならしめることはできません。生物は設計図に書かれている遺伝子のオンオフを決め、オンとなった遺伝子を読み取って生物を形作っていきオーガナイザー石川先生ます。そこでキーになる主人公がDNAを含む高次構造体のクロマチンとその存在様式です。本カンファレンスでは、クロマチンでどのようにして設計図を解読実行し、細胞の分裂、組織の分化、個体の行動や思考をもたらしているのかを主題に開催されました。生物は、クロマチンを祖先から子孫に正確に受け渡される必要があります。セッション1では、そのようなクロマチンの子孫への継承がどのように保証されているのかを分子レベルで議論しました。Thomas R. Cech(トーマス・チェック)博士は、RNAの触媒機能の発見で1989年にノーベル化学賞を受賞し、現在はテロメア研究の第一人者ですが、博士の特別講演では、クロマチンによる遺伝子のオンオフがスムースに行われるためには、クロマチンを構成するRNAが欠かせない役割を果たしていることが示され、従来の考え方を大きく変える新しい考え方として注目されました。クロマチンの機能は、個々の分子が単独で行うわけではなく、多数の分子が複合体を形成し、協調することではじめて可能となります。このような複合体の構造を分子レベルで理解することは、その仕組みを知る上で必要不可欠です。セッション2では、最先端技術を駆使してDNAやRNAに作用する重要な複合体の正確な構造が報告され、近年のこの分野の飛躍的な進歩が実感されました。session1特別講演1“Telomere and centromere chromatin(テロメアとセントロメアにおけるクロマチン)”染色体を維持するうえで重要な機能ドメイン“Two stories of chromatin: Epigenetic silencing and telomere function(クロマチンのふたつの局面:エピジェネティックなサイレンシングとテロメア機能)”Dr.Ishikawa Dr. Fukagawa Dr. Shirahige Dr. Cech座長:Dr. Masumoto8 IIAS NEWS LETTER August.2014 vol.86