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August.2014 vol.86国際高等研究所は創設30周年を迎えますご挨拶国際高等研究所は、「人類の未来と幸福のために何を研究すべきかを研究する」ことを基本理念とし、このような基本理念に賛同する産業界と学界、官界を挙げての強力な支援のもと、1984年8月22日に財団法人として設立され、今年で創設30周年を迎えます。また、昨年2013年4月1日には旧特定民法法人から公益財団法人に移行し、早1年が経過しました。公益財団法人として、今まで以上にその取り組みについて社会に積極的に発信、還元する事業展開が求められるなか、30周年の節目を迎えたことは、これまでの活動実績を踏まえたうえで、「原点回帰」をキーワードに、公益法人としての在り方を見直す機会であると考えています。国際高等研究所の原点を考える時、これまで構想段階を含め30余年にわたる歴史を共に歩んできた関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)との関係をなくして語ることは出来ません。ここで、けいはんな学研都市及び国際高等研究所の創設の背景と現状について振り返ってみます。関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)は、1978年の「関西学術研究都市調査懇談会(座長:奥田東元京都大学総長、通称「奥田懇」)」により提唱され、1987年の関西文化学術研究都市建設促進法の施行を経て、京都・大阪・奈良の3府県にまたがる京阪奈丘陵において、国家プロジェクトとして建設が進められているサイエンスシティです。奥田懇の発足に際しては、1972年に発刊されたローマクラブの提言「成長の限界-人類の危機-」が大きな影響を与えたとされています。ここには、先験の明をもって地球の持つバイオキャパ21世紀の夢を語る奥田東初代理事長(読売新聞提供、1989年頃)シティには限界があり、このまま漫然と人間活動を続けておれば早晩危機を迎えるという、現在でいう「持続可能な社会の構築」が急務であることを当時にあって既に訴えられていました。けいはんな学研都市創設の機運が醸成された時点では、「知的資源の有効活用による人類的課題への学術的挑戦」、「我が国における学術研究機能の再構築の必要性」、「世界の中の日本の役割認識と日本からの発信機能の充実強化」をミッションとし、けいはんな学研都市ならびに国際高等研究所の構想が進められました。国際高等研究所の設立趣意書には、国際高等研究所は「日本社会が模倣による発展の時代から創造による時代へと移行しようとしているのに呼応した組織」と位置付けられており、けいはんな学研都市の中核機関としての役割を担うことが示されています。そして30余年を経過し、日本および世界のありようは大きく変化しました。この先の40年を予測した書籍、昨年発刊された「2052-今後40年のグローバル予測-」(J.ランダース著、「成長の限界」の共著者)には、「成長の限界」で提起されたが放置された課題に加え、現時点で予測される新たな課題として、富の分配格差、世代間不平等、民主主義の限界露呈などが提起されています。しかし、具体的な解決策は示されてはいませんので、大きな人類的課題として克服すべく取り組まなければなりません。そこで今改めて、けいはんな学研都市及び国際高等研究所のそれぞれが果たす役割、相互の関係性を確認し、実践していくことが重要です。けいはんな学研都市では、土地・道路の造成、研究施設の誘致・建設といったハード面の整備はほぼ完了しつつあります。次は当初からのミッションを、国際高等研究所との関係性から相乗効果を生み出しながら、いかに実践していくかというソフト面の時代に移行していると言えます。その方向性を設定し、連携のハブとなることにつ2 IIAS NEWS LETTER August.2014 vol.86