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August.2014 vol.86研究プロジェクトの紹介紹介研究事業の紹介2014年度研究プロジェクトの紹介際高等研究所は、「人類の未来と幸福のために何を研究すべきかを研究する」という基本理念の下に設立国されて以来、地道ながらも意義ある活動を続けてきました。種々の制約から解かれて自由な立場で学術研究を組織でき、対外的にも積極的に発言できる数少ない研究所です。この利点を生かし、社会に影を落す深刻な諸問題に対して、今まで培った知識人の知恵を総合しつつ学術の立場から何ができるかを考えています。2014年度からは、これを基幹研究「我が国の学術研究の現状の解析と将来のあり方に関する考究」として位置づけ、そこでの結果を提言として、社会に発信します。また、基幹研究から派生する問題の深堀や、本来の学術を育てる土壌の肥沃化を目指す研究を研究プロジェクト事業として進めています。2014年度からは、研究プロジェクトを全国の研究機関から公募し、より広く斬新な課題にも目を向け、29件の応募から厳選された5つの新規プロジェクトを採択しました。昨年度から継続する研究プロジェクトと合わせて、次の10研究プロジェクトを推進しています。【基幹研究】我が国の学術研究の現状の解析と将来のあり方に関する考究テーマ1ネットワークの科学研究代表者:郡宏(お茶の水女子大学大学院人間文化創成学研究科准教授)、増田直紀(ブリストル大学上級講師)テーマ2精神発達障害から考察するdecision makingの分子的基礎研究代表者:辻省次(東京大学大学院医学系研究科教授)テーマ3生命活動を生体高分子への修飾から俯瞰する研究代表者:岩井一宏(京都大学大学院医学研究科教授)テーマ4設計哲学-俯瞰的価値理解に基づく、人口財の創出と活用による持続可能社会を目指して研究代表者:梅田靖(東京大学大学院工学系研究科教授)テーマ5総合コミュニケーション学研究代表者:時田恵一郎(名古屋大学大学院情報科学研究科教授)テーマ6分子基盤に基づく生体機能への揺らぎとダイナミックネットワークの解明研究代表者:寺嶋正秀(京都大学大学院理学研究科教授)テーマ7テーマ8テーマ9テーマ10クロマチン・デコーディング研究代表者:石川冬木(京都大学大学院生命科学研究科教授)老いを考える研究代表者:松林公蔵(京都大学東南アジア研究所教授)ゲノム工学とイメージングサイエンスに基づく生命システム研究の新展開研究代表者:川上浩一(国立遺伝学研究所教授)東アジア古典演劇の「伝統」と「近代」-「伝統」の相対化と「文化」の動態把握の試み研究代表者:毛利三彌(成城大学名誉教授)テーマ1ネットワークの科学ネットワークとしてとらえることのできる現象は多岐にわたります。ネットワーク上では人、物、情報、エネルギー等がたえまなく流れています。それらの動き、す研究代表者郡宏研究代表者増田直紀なわちネットワークのダイナミクスに関する研究が進展することによって、ネットワークの科学は社会のニーズにいっそう応えることができるようになると期待されます。事実、この方面の研究は現在非常に活発化しており、たとえば感染症の広がりに関する数理モデルの研究が新型インフルエンザの流行予測に用いられるなど成功例が出始めています。反面、理論と現実とのギャップはなお大きいものがあります。また、生態系における種の絶滅や金融崩壊の深刻さからもうかがえるように、ネットワークのレジリエンス(回復力、打たれ強さ)に関しては、とりわけ現代社会からその解明が強く求められています。本プロジェクトは、以上のような背景のもとに、理論研究者と個別分野の研究者が一堂に会してネットワークのより深い理解と新たな問題の発掘を目指すものです。さらに、社会的に重要な課題の発掘と解決方法の提案も視野にいれています。14 IIAS NEWS LETTER August.2014 vol.86